留学報告
270999
本店 設計1部 井上雅祐
留学先:University
of East London, Post-graduate Diploma, unit 1
tutors:Peter Salter (professor, architect, Head of
School), Peter Beardell (Historian, lecturer)
留学テーマ
:デザインコンセプトの発想手法とその具現化プロセスにおけるエンジニアリングデザインとの協同
;「architecture(建築)
がどういう手順で発想され、形が作り上げられていくのか、そしてその手順の中で のstructure
(構造) construction (施工) servicing (設備)
の役割」について理解を深めた。
英国での建築デザインのプロセス(2年間のデザインプログラムの中での経験)
:非常に繊細な感性と幅広く深い知識(航空機産業からBoat,Mt
Bike、更には地盤を含む地球環境まで)を背 景としたコンテクストの入念な読み取り作業により、デザイン段階で発展させるべきideaとstrategy
(戦 略)を立ち上げる。
:ideaを建築化し、人にそれを感じさせる様に場所のセットアップをする事がデザインであり、それらが極め て論理的に実践されていく。
:architect
は自ら決めた方向性に則りデザインを進め、構造、施工、設備の各分野の専門家と早い段階から 協同しながらも、常に建築全体の方向を制御する姿勢が強調されている。
:そういった建築家の姿勢と美学を十分に理解し、技術的に的確にサポートできるエンジニア達
(学校に於い てはテクニカルチューター) が存在する。
:structure, construction,
servicingは、その空間の意味をより強固にする手段であり、それらは建築の
< poetic, quality of space
>の根幹となるものであり、より空間を豊かなものとする為の重要な要素とし て考えられている。
キーワード(P.Salterにとっての’アイデアを建築する’為の重要な指標) :その他によく使われる言葉
所感
:P.SalterはP.Smithson(元team X)
の思想的に強く影響を受けており、彼の哲学は材 料や構造、設備に対する誠実な態度を重視する。プラン、セクションから構造形式や 材料、施工方法、並びに設備、更にそれらのディテール、そのいずれの段階でもidea が表現されるべきである、と教える。
:特に以下の3つのポイントを重要視している
poetic/ sense or nature of place/ rule or order of place/
quality of space/ legibility
:英国に於ける建築教育は建築家教育と呼ぶ方が相応しい。
:「建築家として常に意識すべき事柄と姿勢」について2年間同じ建築家(Peter
Salter) から繰返し指導され、
建築が持つべき条件(上記キーワード)について非常に強く意識するようになった。
:それらは奇抜なものでは無く、常に意識しておけば建物が「建築」たり得る事を知り、勇気づけられた。
今後心掛けていく姿勢(設計部のデザイン方針との関連)
:「技術力」を背景としたデザインを考える時、デザインはそれら技術(力)を見せる為になされるでは無く、
それらは< poetic, quality of space
>を実現する重要な手段であるという認識を持つべきである。
:その為には建築家が「繊細な読み取り作業と幅広い知識を背景とした建築化すべきアイデアの発見とその実現の為の戦略の立案」を
短時間で行い、
;建築の持つべき<poetic, quality of
space>を理解し、イメージ化する事が大事である。
:更に、建築が持つべき大事な「3つのポイント」を常に意識しながら、
;同時に構造や環境のエンジニアとの協同が建築の意味をより一層豊かにする重要な手段である事を理解し、デザインを発展させていく。
(その為には、同じレベルで3者が議論できる環境が必要である。)
●SCHOOL OF
ARCHITECTUREでのデザインの進めかた
:preparatory study において、main
projectにおいて展開するideaを開発し、それを実現する為のstrategyを構築する。
4年生課題:ベニス建築大学の拡張計画の一部としてのパブリックビルディングと住宅、ローカルファシリティの設計
5年生課題:ロンドンキングスクロス再開発地区での保存修復、公共施設及び高密度集合住宅と都市公園の提案
<Preparatory Studies>(3ヶ月+3ヶ月) ;例えば水上都市ベニスでは「地面の動き」、ロンドンでの再開発計画(キングスクロス)では「ルールや規則、基準」と都市インフラ或は建築との関係といったもの。 4年生でのアイデア:boundary as a
solid この段階で強調される点:<poetic,
quality of space, sensitivity, materiality>
:チューターにより設定される年間テーマに即して建築や空間について考察し、ideaを掴む。
:テーマはメインプロジェクトにて重要となるポイントと関連し、常に意識するべき言葉である。
;この作業を通して建築家として持つべき常識、考え方やモノの見方や判断の仕方、言わば一般教養と言うべきものの修得を兼ねる。
5年生でのアイデア:lost spaces and secrete space, furniture
in space, section and servicing
:メインプロジェクトの敷地において前の段階で得たideaの有効性の検証と敷地周辺環境の読み取りに基づく新たなideaの開発。 ;例えば、ベニスでは敷地の「2面性(Janus)」やロンドン
キングスクロスでは敷地内に残された19世紀の工業施設や運河の歴史的な考察や敷地と周辺の住宅地環境との繋がり、叉はユーロスター発着駅の新設の影響などについて。 4年生でのアイデア:campo as an
interior、戦略:contrast different
nature5年生でのアイデア:patching and
repairing、戦略:strategic layering この段階で強調される点:<上記に加えて、legibility,
scale, celebrate>
;更に、途中段階でideaを得る手掛りとして読み取りのヒントやテーマが与えられる事もある。今年の場合では、映画
(タルコフスキーのSTALKER) やテキスト(モネオやレム、ロウ)
等。
<Main Project>(3ヶ月) :元々のideaを尊重しながら、構造的或は設備的視点からよりideaを明解にする方向で修正追加を行い、計画の内容を全体として明快で現実的なものとする。 4年生での最終形:硬い地盤上に置かれた分厚いレンガ造の壁、その内部には幾つかの機能空間を内包する、そして軟弱地盤上に置かれる木造の軽量な構造物。厚い壁で定義された領域に挿入される建築的家具としてのパブリックルーム。
5年生での最終形:戦略的に重層された高密度で複合用途の住宅マットと複雑さの表象としてのコーナーショップ。スカルパの手法を範とした19世紀のレンガ造建築の保存修復プロジェクト。
:プランとボリュームスタディがある程度固まった段階で構造施工担当のチューター,
設備担当のチューターを含めて案の練り上げを行う。
:特に構造・施工においては原寸叉はそれに近いレベルでの検討が要求され、詳細図やモデルを作成する。
この段階で強調される点:<strategy in detail, economy of
means>