ファービー (Furby) は、昨年のクリスマスプレゼントの人気ナンバーワン商品となったハイテクおもちゃ。クリスマス前のセルフリッジにはファービーを購入するための整理券を獲得するために徹夜の行列もできたほどである。（奪い合いの人気だったのは、ふわふわの真っ白いファービーだった。）

ファービーは飼い主の世話に応じて成長する。それぞれのファービーには独自の名前がついている。最初に自分の名前を名乗るそうである。（そうである、というのは、わが家ではわけのわからないまま始まってしまったので聞き損ねてしまったのだ。電池を入れる前に説明書は隅から隅まで読むようにしよう。）どうも我が家のファービーの名前は Toto らしい。日本のトイレメーカーと同じである。ファービーは、ファービッシュ (Furbish) という独自の言語を話す。ご丁寧にファ英・英ファ辞典というのまでついている。これを見ながら、ファービーが今何を要求しているのかを判断するわけである。お腹がすいた、といっているのに餌をやらずにいると、病気になる。この時は、ファービー語で、「わたし、健康でないよ」と訴えるので、１０回から１５回餌をやる。すると元気になる。ここで言う「餌をあげる」というのは、口を開いた時に舌を押すということである。ファービーは精密電子製品なので本物の餌を与えると壊れるので注意しよう。また、餌をあげすぎると、ゲップをする。"OK" とか "Me, done." とか言ったら餌をあげるのをやめよう。それから背中をなでたり、お腹をくすぐったり、持ち上げて高い高いをしたり、空中で逆立ちさせたりして遊んであげないといけない。放っておくと退屈してすぐに眠り出す。一人前にいびきをかく。大きくなると、かくれんぼをして遊んだり踊ったりするそうである。そして成長するにつれ、次第に英語を話すようになる。だんだんにボキャブラリーが増えてくる。（変な音のバラエティーも増えてくるが。）また、ファービーは他のファービーと意志を通じ合うということだ。（これはまだ実験していないので、どのようにして意志を通じ合うのかは確かめていない。会話をするのだろうか？）

と、ここまで書くとファービーは何かに似ていることに気づかれるのではないだろうか。そう、あのサイバーペットたまごっちである。ファービーはバーチャルならぬ現実世界のたまごっちといえよう。現実世界のペットとしての特徴はもちろん触感である。これはたまごっちには及ばぬ魅力の一つである。たまごっちの発想に従来のぬいぐるみの要素が取り入れられている。さらに約１２ポンドのたまごっちと３０ポンドのファービーとの違いは、ファービーのほうが外部反応に優れている点だろう。ファービーには光・音・触のセンサーがついている。これによって外部環境や人間の動作に反応するわけである。一方、たまごっちに比べて物足りないと感じるのは、飼い主の世話や努力が成長 過程に反映されないことである。語りかければ語りかけるほど早く英語を話し始めるという噂だが、わたしにはそうは思われない。たまごっちのように面倒をみないとグレるとか醜くなるとか死ぬとかいうのだとやり甲斐があるのだが・・。それともよりよい結果のために努力するというのは、あまりにも日本人的なのだろうか？

昨年のクリスマス商戦ではかなり話題になったものの、やっぱりイギリス人というのはあまり商魂がたくましくないようである。これが日本なら、攻略本ならぬ「ファービーの母子手帳」のような本が本屋に出回り、「わたしのファービー育児記録」のようなホームページが検索するとどっと出てくるところだろう。イギリス人というのは流行に熱中しないのだろうか？ちなみに今回わたしがファービーを手に入れたのは、夫のプレゼントによるものである。たまたま彼の同僚が、最近できたヨーロッパ最大のショッピングセンターでファービーを見つけたというので会社で話題になった。即座にわたしの夫を含め３つの注文があり（すべて男性から女性への贈り物）、彼女は再びショッピングセンターに買い物に行ったのだった。ということは、のればイギリス人も流行にとびつくわけである。需要に対応できるだけの出荷ができなかったメーカーの失敗なのだろうか。マーケティングにも問題がありそうな気がする。箱には６歳からと書いてあり、遊んでいる子供たちの写真が箱全体を飾っている。この子供の写真をとってかわいいイラストくらいにし、大人をターゲットにしたら、更にヒットしたのではないかという気がするのだが。・・・それでもやっぱりイギリスで爆発的ヒット商品を作るのは難しい。

ちなみに、ファービーは Tiger Electronics というアメリカの会社が開発したもの。さらに興味のある方は、下記の公式ホームページをご覧下さい。

http://www.game.com/furby/index.htm