● 寿限無、寿限無、・・・今回は名前の話
二人のスパイス・ガールズに最近子供が生まれ、ちょっとした話題になりました。
(ちなみにヴィクトリア・アダムズとデイビッド・ベッカムの結婚式も、やはり6
月に行われます。エドワード王子の結婚式よりも話題になるのではないかと言われ
ています。)ポッシュ・スパイスことヴィクトリア・アダムズ嬢の息子はブルック
リン (Brooklyn) と名づけられ、スケアリー・スパイスことメルBの娘はフェニッ
クス・チー (Phoenix Chi) と名づけられました。ポッシュ・スパイスとベッカムの
子供は、ニューヨーク滞在中にできたと思われることから、その地名にちなんで名
づけられたそうです。口の悪い人たちは、もしそれがブラックプールとかスカン
ソープ(どちらもイングランドの地方都市)だったらどうするつもりだったんだろ
うね、などと言っています。一方、スケアリー・スパイスの娘の名前のチーは、中
国語で qi とも書き、風水や太極拳などでいわれる「気」(エネルギー)のこと。
もっともこのような名前の付け方はあまり一般的ではありません。有名人だから
なせるわざです。普通のイギリス人はすでにある名前の中から選んで子供につけま
す。中には、自分で編み出してつける親もいるらしいですが、子供の将来を考える
となかなかここまで勇気のある親は少ないようです。(絶対いじめられますよね
え。)その点、有名人の子供はどちらにしろ生まれた時から人々の注目を浴びる存
在なので、あまり名前の影響はないかもしれません。
日本では親は願いをこめて子供の名をつけるようですが、イギリスではもっぱら
響きやその一般的印象などで名前を決めることが多いようです。意味を表す漢字を
使うため、日本では名前に意味を持たせることができるのでしょう。
このようなわけで、イギリス人の名前と言うのは、日本人と比較するとずっとバ
ラエティーが少ないように思います。それでも、近年の国際化に伴い、外国の名前
やキリスト教以外の宗教の名前もずいぶん入ってきました。かつては、first name
の代わりに christian name と言う言葉が使われたほど、よくある名前のほとんど
は旧約聖書に出てくるヘブライ語の名前か、キリスト教の聖人の名前でした。その
他には、古代ギリシャやローマ時代に起源を持つ名前も少なくありません。また、
middle name といって、first name の後に複数の名前を持つ人もいます。寿限無で
はありませんが、3つも4つもミドルネームを持つ人もいるようです。このような
場合、ミドルネームは、ご先祖様に対する敬意を表する意味で、家族に代々伝わる
名前がつけられる場合が多いようです。その他にも、ファースト・ネームと組み合
わせると響きがよいから、という理由でミドルネームがつけられる場合がありま
す。
1997年にイングランド及びウェールズで生まれた新生児のうち最も多い名前
のトップ10は下記のようになっています。
女の子 | 男の子 |
1 | Sophie | 1 | Jack |
2 | Jessica | 2 | Daniel |
3 | Chloe | 3 | Thomas |
4 | Emily | 4 | James |
5 | Lauren | 5 | Joshua |
6 | Rebecca | 6 | Matthew |
7 | Charlotte | 7 | Ryan |
8 | Hannah | 8 | Samuel |
9 | Amy | 9 | Joseph |
10 | Megan | 10 | Liam |
女の子のトップ3の語源ですが、ソフィーはもともとはギリシャ語で知恵を表す
"Sophia" の愛称。転じて正式な名前に定着したようです。ジェシカはヘブライ語
から来ています。クロイーもギリシア語が元。男の子のほうに行くと、ジャックは
もともとは "John" の愛称でした。2位のダニエル及び3位のトマスはともにヘブ
ライ語に由来します。というわけで、だいぶバラエティーは増えてきたものの、やっ
ぱり最も人気のある名前は伝統的な路線を踏襲しているようです。ただ、もともと
は愛称であったものが正式な名前として定着しつつある例が増えているのが、最近
の特徴のようにも思えます。(圏外12位のケイティー、28位のモリー、同じく
男子18位のハリー、29位のジェイミーなど。)
ちなみに、1954年の同様の統計によると、女の子のほうがスーザン、リンダ、
クリスティンの順、男の子はデイビッド、ジョン、スティーブンの順で人気があっ
たようです。このうち、1997年のトップ50に入っているのは、31位のデイ
ビッドと41位のジョンだけ。他は影も形もありません。
もっと詳しい名前の一覧表をご覧になりたい方は下記のページをご参照下さい。
(ただし、頻繁に更新しているようで、1997年のトップ50はもう掲載されて
いないようです。5月24日現在では、1954年から1997年までのトップ1
0の一覧表をご覧になることができます。)
Government Statistical Service
http://www.statistics.gov.uk/