Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第11回の目次

● 3月の行事
● フィッシュ・アンド・チップスと金曜日
● イギリスの不動産広告を読む
● 一言イギリス英語講座 - "Touch wood!"
● 雪崩にご注意

     ● 3月の行事

早いもので、もうすぐ3月です。一年の6分の一が終わってしまいますね。それ では、早速3月の行事のご紹介から。

St. David's Day (3月1日)

ウェールズの守護聖人の祝日。(でも、Bank holiday ではありません。)地元 ウェールズでは、自分のルーツを確認し、ウェールズ文化をたたえる日として盛大 に祝うそうです。ウェールズの国旗は、白と緑の背景に、Red Dragon をあしらっ たもの。ウェールズのシンボルは、西洋ねぎ (leek) とラッパ水仙 (daffodils) です。 ウェールズでは、この日は、飲んだり歌ったりして、お祝いをするそうで す。(ウェールズ人は歌が好きで、上手なことでもよく知られています。)また、 この日には、ウェールズでは、西洋ねぎを身につけたりするようです。イングラン ドでは、この日はめったに話題にもなりません。この日に赤いソックスをはく習慣 があるというのだけはどこかで聞いたことがあります。

Mothering Sunday (3月14日)

母の日。最近では、Mother's Day という言い方もします。キリスト教の四旬節 (Lent) の第4週目の日曜日で、今年は3月14日にあたります。この日には、お 母さんの家を訪問したり、プレゼントをあげたりします。(2月のバレンタイン デーに引き続き、またもやカード屋・花屋・レストラン・ギフトショップの書入れ 時ですね。)5月の第二日曜日に祝う日本の母の日は、アメリカの習慣にのっとっ たもののようです。日本の母の日にカードを送る予定のイギリス在住の方は、この 時期にしっかり母の日のカードを確保しておきましょう。5月に探してもみつかり ませんよ。

St. Patrick's Day (3月17日)

アイルランドの守護聖人の祝日。北アイルランドとアイルランド共和国では、 Bank Holiday になります。アイルランド移民の多いニューヨークでは、パレード などがあり、盛大にお祭りするようですが(それにもちろん地元アイルランド共和 国や北アイルランドでも)、イギリス本土では特に大きなお祭りはないようです。 この日の色は、「緑色」。聖パトリックとアイルランドの色です。アイルランドの シンボルは、shamrock (シロツメグサのようなもの)です。

サマータイムの始まり(3月28日)

今年は、この日からサマータイムが始まります。(ちょっとサマーと呼ぶには気 が早すぎるような気もしますが。)イギリスにお住まいの方は、時計の針を1時間 進ませるのをお忘れなく。(1時間睡眠時間が減りますね。)日本との時差は、今 までの9時間(日本のほうが早い)から8時間になります。日本の午後5時がイギ リスの午前9時になるので、仕事の連絡も今までよりとりやすくなります。

     ● フィッシュ・アンド・チップスと金曜日

アメリカに短期留学をしていた時に、アメリカ人と結婚して現地に住んでいた日 本人クラスメートにずいぶんお世話になりました。彼女が、金曜日に自宅にお食事 に招いてくれた時に、「金曜日はカトリックの習慣で、魚を食べる人が多いのよ。」 と言っていたのを思い出します。ここイギリスでも、金曜日に魚を食べる習慣は見 られます。我が社の社員食堂にも、金曜日だけは、必ずフィッシュ・アンド・チッ プスが出ます。キリスト教徒の友人に聞いてみたところ、金曜日はキリストが十字 架にかけらた日だから、ということです。魚は西洋人にとっては、精進料理なので すね。四旬節の間、熱心なキリスト教徒は、初日の Ash Wednesday(聖灰水曜日) と毎週金曜日には肉を避けて、魚を食べるようです。

     ● イギリスの不動産広告を読む。

さて、お約束通り、今回はイギリスの不動産広告でよく見る言葉を取り上げてい きたいと思います。まずは住宅の種類から。

Detached house (一戸建て)

イギリスでもやっぱりあこがれの的です。腐っても鯛、小さくてもデタッチドと いうくらい、デタッチドというだけで、家の価値は増します。隣りの騒音に悩まさ れることがないのがうらやましいです。(ちなみに、我が家は下記のセミデタッチ ド。音量を上げて音楽を聴くのが好きな隣人には閉口しています。)

Semidetached house

二軒の家がくっついた形。もともとは、小さな一戸建てよりは、二つくっつけた ほうが大きく堂々と見えるということで、発明されたもののようですが、やっぱり 一戸建てにはかないません。

Terraced house

いわゆる西洋長屋です。3軒以上の家がつながっていると、こう呼ばれます。た ぶん、日本人がイギリスに来てびっくりするのは、このタイプの住宅ではないで しょうか?とにかく、同じ形の同じ色の家がずらっと並んでいるのは、壮観です。 うちの母がイギリスに来たときは、しきりになんの変哲もないテラスド・ハウス の写真を撮りまくってわたしの夫を不思議がらせていました。

Bungalow(平屋)

一階建ての家。お年寄りにだんぜん人気。

Flat (アパート、マンション)

共同集合住宅の一般名称です。英語の mansion は大邸宅を意味するので要注意。 わたしが従事する証券業界では、マンションは condominium と英訳されますが、 これはアメリカ英語で、イギリスでは使われません。

Apartment

ごく最近になってフラットの同義語としてよく使われるようになった言葉。特別 な定義はないようですが、フラットに比べて、特におしゃれで高級なアパートに使 われているような気がします。

Studio (Studio flat/apartment)

居間、台所、寝室が壁でさえぎられることなく一続きになった、オープンな設計 のフラット。(わたしが昔一人暮らしをしていた南阿佐ヶ谷の6畳一間のアパート もこう呼べるのだろうか?)流行に敏感な若者のあいだで人気。

Maisonette

(通常)二つの階にまたがるフラットを指します。

Bedsit (Bed-sitting room)

寝室に台所とトイレがついただけの簡易アパート(の一室)。賃貸用です。

Semidetached bungalows (左)

Terraced houses (右)

その他、不動産広告を読む上で知っていたい単語をいくつか。

Freehold)/Leasehold

"F/H" および "L/H" とも略されます。フリーホールドが土地まで家の価格に含 まれるものであるのに対して、リースホールドは借地権付き住宅、つまり土地の所 有権はついていません。借地権は通常長期にわたるものが多いので(999年間と か)、実際にはそれほどフリーホールドと変わりません。また、借地人の権利も法 律で手厚く保護されています。しかし、住宅の価値としてはもちろんフリーホール ドのほうが高くなります。不動産を見るときには、特にフリーホールドとリース ホールドの別に注意しましょう。価格が全然違ってきます。リースホールドは、フ ラットに多く見られます。

To Let/For Sale

"To let" は賃貸用。"For sale" は売り家。

Purpose-built/Conversion

フラットの種類。Purpose-built のほうは、読んで字のごとく、最初から共同集 合住宅として建てられたもの。それに対して、conversion のほうは、一軒の大邸 宅を改造して、いくつかのフラットにしたものを指します。ですから、外から見る と、集合住宅のようには見えないところがほとんどです。どちらがいいかは、好み の分かれるところ。Purpose-built は機能的ですが、conversion のほうは、ヴィ クトリア時代の大きなお屋敷を改造したところが多いため、天井が高くて広々とし ている、というメリットがあります。

Cul-de-sac

フランス語に語源を持つこの言葉は、袋小路、つまり通り抜けのできない道路の こと。交通量が少ないので、静けさと安全を求める世帯に好まれます。が、最近の 統計によると、人通りが少ないために、空き巣の格好のターゲットとなっているそ うです。なかなか住まい選びは難しいですね。

広告によく出る略語。

EOT (=End of Terrace)

テラスド・ハウスの端の家。実質上、セミデタッチドと同じですから、普通のテ ラスドハウスよりは値段が高くなります。

d/z (=Double Glazing または Glazed)

二重窓のこと。気密性が高くなるので省エネに役立つなど、かつては重要なセー ルスポイントの一つでしたが、競争激化のおかげで二重窓の値段も下がり、今では それほど重要視されません。

gch (=Gas Central Heating)

やっぱりセントラルヒーティングは欠かせません。ガスのひかれていない地域も あります。

OIEO (=Offer In the Excess Of), OIRO (Offer In the Region Of)

"OIEO" は指定の値段以上の言い値でないと受け入れないぞ、ということ。 "OIRO" は、指定の値段前後の言い値なら考慮します、ということです。

これで、不動産広告に出てくる単語はほぼ理解できるはずです。実際に、イギリス で不動産探しをする可能性のない方でも、イギリスの住宅事情のご理解の役に立て ば幸いです。

     ● 一言イギリス英語講座 - "Touch wood!" 

悪いことがふりかかるのを防ぐためのおまじないの言葉。ちょっと自慢げなこと を言ってしまった後に付け加えます。たとえば、「わたしはこの2年間風邪ひとつ ひいたことがない。」とか「この不景気にもかかわらず、うちの会社の売上は好調 だ。」など。こう言ったとたんに病気になったり、運が傾いたりするのを防ぐのが 「木に触ること」です。昔から、木には悪運をとりはらう力が備わっていると信じ られていたことからこの言葉ができたようです。別の説では、キリストが木の十字 架にかけられたことから生まれた慣習だとも言われます。そして言った後には、実 際に手近にある木でできたものに触ったり、あるいは口で言うだけで何もしなかっ たり、また自分の頭を触る人もいます。(何をかいわんや、ですよね。)ほとん ど、慣習化してしまった言葉ですが、言わないと本当に悪いことがあるのではない かとなんとなく不安になる人は意外に多いのではないでしょうか?

"Touch wood!" は日本の「お蔭様で」です。つまり、洋を問わず、不遜なことを 言うのはよくないという道徳感がともに根底にあるよな気がします。自分や家族が 無病息災でいられるのも、商売がうまくいっているのも、自分の力以外のもの(神 仏や周囲の人々)のおかげである。だから、それを忘れて自慢をすると悪いことが ふりかかるぞ。これがこれら日英両方の言葉の背後にある共通の戒めなのではない でしょうか?何かを恐れる気持ちというのは人間を謙虚にするものです。

     ● 雪崩にご注意

スキーをしますか?わたしはイギリスに来てからは、一度、オーストリアのペン ションの裏山で滑ったきりです。一度、あの広大なアルプスのゲレンデで滑りたい ものだなどと、今シーズン初めに友人とメールで言っていました。ところが、今年 は50年ぶりの雪崩の当たり年だというではありませんか。今週も、オーストリア で、死者30名以上を出す雪崩があったばかりです。これからヨーロッパにスキー に出かけるという幸せな方々は、くれぐれも雪崩にご注意下さい。地元の警報には 注意を払いましょう。そして、警報が出ている時には、無茶をしないように。一部 の無謀なスキーヤーが雪崩の引き金をひいた例もあります。一人の危険を省みない 行為によって他の人たちの命までが犠牲になることもあるのです。

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