● イギリスの不動産広告を読む。
さて、お約束通り、今回はイギリスの不動産広告でよく見る言葉を取り上げてい
きたいと思います。まずは住宅の種類から。
Detached house (一戸建て)
イギリスでもやっぱりあこがれの的です。腐っても鯛、小さくてもデタッチドと
いうくらい、デタッチドというだけで、家の価値は増します。隣りの騒音に悩まさ
れることがないのがうらやましいです。(ちなみに、我が家は下記のセミデタッチ
ド。音量を上げて音楽を聴くのが好きな隣人には閉口しています。)
Semidetached house
二軒の家がくっついた形。もともとは、小さな一戸建てよりは、二つくっつけた
ほうが大きく堂々と見えるということで、発明されたもののようですが、やっぱり
一戸建てにはかないません。
Terraced house
いわゆる西洋長屋です。3軒以上の家がつながっていると、こう呼ばれます。た
ぶん、日本人がイギリスに来てびっくりするのは、このタイプの住宅ではないで
しょうか?とにかく、同じ形の同じ色の家がずらっと並んでいるのは、壮観です。
うちの母がイギリスに来たときは、しきりになんの変哲もないテラスド・ハウス
の写真を撮りまくってわたしの夫を不思議がらせていました。
Bungalow(平屋)
一階建ての家。お年寄りにだんぜん人気。
Flat (アパート、マンション)
共同集合住宅の一般名称です。英語の mansion は大邸宅を意味するので要注意。
わたしが従事する証券業界では、マンションは condominium と英訳されますが、
これはアメリカ英語で、イギリスでは使われません。
Apartment
ごく最近になってフラットの同義語としてよく使われるようになった言葉。特別
な定義はないようですが、フラットに比べて、特におしゃれで高級なアパートに使
われているような気がします。
Studio (Studio flat/apartment)
居間、台所、寝室が壁でさえぎられることなく一続きになった、オープンな設計
のフラット。(わたしが昔一人暮らしをしていた南阿佐ヶ谷の6畳一間のアパート
もこう呼べるのだろうか?)流行に敏感な若者のあいだで人気。
Maisonette
(通常)二つの階にまたがるフラットを指します。
Bedsit (Bed-sitting room)
寝室に台所とトイレがついただけの簡易アパート(の一室)。賃貸用です。
Semidetached bungalows (左)
Terraced houses (右)
その他、不動産広告を読む上で知っていたい単語をいくつか。
Freehold)/Leasehold
"F/H" および "L/H" とも略されます。フリーホールドが土地まで家の価格に含
まれるものであるのに対して、リースホールドは借地権付き住宅、つまり土地の所
有権はついていません。借地権は通常長期にわたるものが多いので(999年間と
か)、実際にはそれほどフリーホールドと変わりません。また、借地人の権利も法
律で手厚く保護されています。しかし、住宅の価値としてはもちろんフリーホール
ドのほうが高くなります。不動産を見るときには、特にフリーホールドとリース
ホールドの別に注意しましょう。価格が全然違ってきます。リースホールドは、フ
ラットに多く見られます。
To Let/For Sale
"To let" は賃貸用。"For sale" は売り家。
Purpose-built/Conversion
フラットの種類。Purpose-built のほうは、読んで字のごとく、最初から共同集
合住宅として建てられたもの。それに対して、conversion のほうは、一軒の大邸
宅を改造して、いくつかのフラットにしたものを指します。ですから、外から見る
と、集合住宅のようには見えないところがほとんどです。どちらがいいかは、好み
の分かれるところ。Purpose-built は機能的ですが、conversion のほうは、ヴィ
クトリア時代の大きなお屋敷を改造したところが多いため、天井が高くて広々とし
ている、というメリットがあります。
Cul-de-sac
フランス語に語源を持つこの言葉は、袋小路、つまり通り抜けのできない道路の
こと。交通量が少ないので、静けさと安全を求める世帯に好まれます。が、最近の
統計によると、人通りが少ないために、空き巣の格好のターゲットとなっているそ
うです。なかなか住まい選びは難しいですね。
広告によく出る略語。
EOT (=End of Terrace)
テラスド・ハウスの端の家。実質上、セミデタッチドと同じですから、普通のテ
ラスドハウスよりは値段が高くなります。
d/z (=Double Glazing または Glazed)
二重窓のこと。気密性が高くなるので省エネに役立つなど、かつては重要なセー
ルスポイントの一つでしたが、競争激化のおかげで二重窓の値段も下がり、今では
それほど重要視されません。
gch (=Gas Central Heating)
やっぱりセントラルヒーティングは欠かせません。ガスのひかれていない地域も
あります。
OIEO (=Offer In the Excess Of), OIRO (Offer In the Region Of)
"OIEO" は指定の値段以上の言い値でないと受け入れないぞ、ということ。
"OIRO" は、指定の値段前後の言い値なら考慮します、ということです。
これで、不動産広告に出てくる単語はほぼ理解できるはずです。実際に、イギリス
で不動産探しをする可能性のない方でも、イギリスの住宅事情のご理解の役に立て
ば幸いです。