● イースターの食べ物
やっぱり、食べ物抜きではイギリスの年中行事は語れません。
ホット・クロス・バンズ (Hot Cross Buns)
レーズンやオレンジ・レモンの皮の入ったパン。
軽くトーストしてバターをつけていただきます。
ちょっと甘いパンなので、お茶と一緒におやつと
して食べるのが普通です。また、伝統から言って
も、かつてはケーキとして食べられていたので、
これが正統な食べ方かも。
パンの上に十字 (cross) が入っていることから、
キリストの受難を記念するこの時期に食べられま
す。(たまに季節外れの頃にスーパーで売られて
いることもありますが。おいしいので、一年中食
べられればいいのにと思う消費者はわたしだけではないということのようです。)
しかし、このパンはキリスト教の復活祭が伝来する前からあったそうです。その頃
は、ケーキとして作られ、土着宗教の春のお祭りに使われました。
Good Friday に焼いたパンには、ある種の病気を治すなど、特別な力が宿ってい
ると信じられていました。また、この日に焼いたパンはは一年中かびない、という
言い伝えがあります。この日にパンを焼いて、それを台所に吊るしておくと邪悪な
力、特に火災から守られると信じられていました。また、この日に焼いたパンを
持って船に乗ると、遭難しないという言い伝えもあります。ある地方の農民は、ね
ずみから穀物を守る力もあると信じていたそうです。
このホット・クロス・バンについては、英国版岸壁の母とも言える話が、ロン
ドンの Devons Road にある "The Widow's Son" というパブに残っています。
イースター・エッグ (Easter Eggs)
昔は、本物の卵を交換しましたが、最近ではチョコレートの卵をプレゼントする
のが習慣となっています。(チョコレート屋も考えたものですね。)卵型をした
チョコレートから(大きなものは中が空洞になっており、そこにアソートタイプの
チョコレートが入っているのが普通)、ウサギの形をしたチョコレートまでいろい
ろなものが売られています。
シムネル・ケーキ (Simnel cakes)
マジパンの飾りのついた、どっしりしたフルーツケーキ。(イギリス人お気に入
りのタイプ。)四旬節からイースターにかけての季節につきもの。特にイースター
の時期に贈りものに選ばれるのは、黄色い卵の形をしたマジパンの飾りがたくさん
上にのったケーキです。食べたことはありませんが、見た目はとてもかわいい。