● 5月の行事
このコーナーはその月に入る前にご紹介していきたかったのですが、あっと言う
間に5月に突入してしまいました。さて、遅れ馳せながら、その5月の行事は・・。
May Day Bank Holiday(今年は5月3日)
Spring Bank Holiday (今年は5月31日)
このバンク・ホリデーの名称はスコットランドでは逆になります。(スコットラ
ンドでは5月3日が "Spring Bank Holiday"。)5月の第一月曜日はメイデーを記
念したもの。最終月曜日のほうは、聖霊降臨祭( Whit Sunday, Whitsun,
Pentecost などと呼ばれます。)に由来するものだということです。聖霊降臨祭は
キリスト教の祝日で、復活祭のあとの第7日曜日を指します。復活祭同様、この聖
霊降臨祭もまた、毎年日にちが変わります。(復活祭の日にちが月の満ち欠けに
よって決定されるためです。)今年の聖霊降臨祭は5月23日です。Bank Holiday
のほうは毎年5月の最終月曜日に定まっています。メイデーですが、もともとは5
月1日を指し、今では International Labour Day または International Workers'
Day 、つまり労働者の祭典のほうで有名です。しかし、May Day といえば、もとも
とは春の訪れを歓迎する古いお祭りを表しました。その起源は古代ローマの春と花
の女神フローラをたたえたお祭りにあり、始まりは紀元前258年まで溯るといわ
れます。これが、中世になると、イギリスでは歌を歌ったり踊りを踊ったりの賑や
かで楽しいお祭りになったということです。この時期の行事で有名なのは、Maypole
Dance や 5月の女王( Queen of the May あるいは the May Queen )を選ぶ村の
美人コンテスト(これが現在のミス・ワールドの原形という説もありますが。)
や Morris Dance でしょう。メイポール・ダンスは、メイポールと呼ばれる棒の周
りを踊りを踊りつつ、メイポールに結びつけらたリボン(4の倍数の本数で、メイ
ポールの高さの1.5倍の長さ)でいろいろな模様を織り成していくものです。踊
り手は内側の円と外側の円とに分かれ、シンプルな縞模様から内側のリボンと外側
のリボンが交差する複雑な模様まで、さまざまな模様を踊りながら表現していきま
す。残念ながら、わたしはまだ実際に見たことはありませんが、今でも田舎の村の
広場などでは行われているようです。Morris Dance はこの時期に限定したもので
はありませんが、May Day は最もよく見られる機会の一つです。これは一種の
フォークダンスのようなもので、通常6人あるいは8人の男性によって踊られます。
最近では、女性の踊り手も出現しているそうです。各地方によって、ハンカチを
振ったり、棒や木刀のようなものを打ち鳴らしたり、いろいろ変化があるようです。
また踊り手にも「王」「女王」「魔女」などの役ということです。残念ながら、こ
れもまだ実際に見る機会に恵まれていません。しかし、地元の図書館の掲示板で、
「求む!モリスダンサー」という貼り紙を見たことがありますので、この伝統が今
でも生き続けているのは確かでしょう。このような行事を含め、5月の初めの連休
にはイギリス各地で、May Fair が開かれます。最近では、May Day というと労働
者の日という印象のほうが世界的には強いですが、こちらは1886年5月1日に
1日8時間労働を求めてアメリカ及びカナダで起こった全国規模のストライキを記
念して、1989年にこの日が労働者の休日と定められたことに基づきます。イギ
リスでこの日が休日になったのは、労働運動華やかなりし頃の1970年代くらい
のようですが、その後、サッチャー政権時代を経て労働組合はすっかり勢力を削が
れ、今では5月1日といっても、労働者の行進などは見られなくなりました。
FA Cup Final(今年は5月22日)
サッカーシーズンの最後を飾るフットボール協会杯争奪トーナメントの決勝戦が
ロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われます。この日は、アメリカで言った
ら、スーパーボールの決勝戦、日本だったら野球の日本シリーズと言ったところで
しょうか?試合が始まると、道路には人っ子一人いなくなります。今年の決勝戦は、
マンチェスター・ユナイテッドとニューカッスルとの間で争われます。
Chelsea Flower Show (今年は5月25日〜5月28日)
The Royal Horticultural Society 主催の花の祭典。チェルシーの王立病院の庭
に設置された巨大なテントの下で開かれます。一般公開は27日と28日のみで、
それ以外は王立園芸協会会員しか入場できません。プロの園芸家(種苗園経営者や
造園師など)からアマチュア(学校など)までが、この日のために丹精こめて育て
てきた植物や念入りに設計した庭を披露します。このショーは1913年からチェ
ルシーで開催されおり、それ以降、戦中・戦後の何年かを除いてほぼ毎年この時期
に行われています。ガーデニング好きな人たちにとって、このショーは1年のメイ
ンイベントと言えるでしょう。毎年約17万人の人出が予想されます。下記の王立
園芸協会のHPでは、昨年のチェルシー・フラワー・ショーの受賞庭園の写真など
も見られます。
http://www.rhs.org.uk/around/shows/Chel.asp