Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第17回の目次

● イギリスのダイオキシン騒ぎ
● イギリスの道路事情
● 一言イギリス英語講座 - "cowboy"
● 試行錯誤の "Anglo-bites" です

     ● イギリスのダイオキシン騒ぎ

またまた食品騒動がおきました。先週、ベルギー産の牛肉・豚肉・鶏肉・牛乳・ 卵などの畜産品にダイオキシンが検出され、これらを原料としたパテ・チョコレー トなどの食品がスーパーから撤収されました。原因はこれらの動物の飼料がダイオ キシンを含む工業油によって汚染されていたため。日本ではかなり前から問題に なっているダイオキシンですが、それまでイギリスではほとんど耳にしたことはあ りませんでした。が、今回の事件でいきなり有名に。狂牛病騒ぎに終止符が打たれ たと思ったら、GM食品問題、そして今度はダイオキシンです。安心して食べられ るものがますます減ってきましたね。

     ● イギリスの道路事情

わたしはいわゆるペーパードライバーです。日本で暮らした最後の1年半を含 め、この10年間一度も運転をしたことがありません。免許のほうは、必要書類を そろえるだけで簡単にイギリスの免許への交換ができますので、法的には運転がで きることになっています。イギリスの免許を手にして、まずぶっとんでしまうのが 有効期限です。20X0年とか一見気の遠くなるような年が記されていて、いった いその頃までわたしは生きているのだろうか?などと思ってしまったりします。で も、実はこれは所持者が70歳になる年なのですね。(ということは、思ったほど 遠い未来ではない。)つまり、一度免許を取ると70歳まで更新する必要はないわ けです。それで問題がないか?あります。数年前に、ある男性が横断歩道を渡って いる途中の歩行者をひき殺すという事件がありました。たしか年配の男性だったと 思いますが、かなり視力が悪化していて近くもよく見えないほどだったようです。 基本的に、視力の悪化やその他の運転に影響する健康状態の悪化は自己申告制です。 この義務を怠った場合には1000ポンドの罰金という条項がありますが、自発的 に申告している人がどれくらいいるのかは怪しいものです。それから、現在有効の イギリスの免許証のほとんどには所持者の写真はありません。1998年7月から EUの規定に基づいた写真入り免許証が徐々に導入されています。この写真入り免 許の場合には、10年毎に更新することになっています。

さて、日本から来て珍しいのが、ラウンドアバウト (roundabout) と呼ばれる ロータリー交差点でしょう。この中では、交通は(イギリスでは)時計回り流れ、 進入車は右から来る車に譲りながら交差点に入ります。ちなみに、フランスにも同 じ物があって、うっかりバイクで反対方向に進入して肝を冷やしたおぼえがありま す。(フランスは右側通行です。)ラウンドアバウトの利点としては、交通量の少 ないところでは進入車が停車する必要がないため交通の流れがスムーズになる、U ターンがしやすい、十字交差点より右折が楽、などの点があげられます。数年前 に、ラウンドアバウトの日本での適用性を研究するために来英した茨城大学の学生 さんのお手伝いをしたことがあります。知人にアンケートに答えてもらいそれをお 送りしたのですが、お礼かたがた研究結果のご報告をいただきました。合計174 人の在英日本人から回答を得たようですが、結果としては、日本でも郊外でなら導 入の可能性はあるだろうという意見が多かったようです。しかしながら、大多数の 意見としては、日本人の気質には合わないのではないかということでした。ラウン ドアバウトの原理は個々のドライバーの判断力と自主性によるところが大きいもの です。教習所時代から状況判断の悪さを自覚しているわたしには、信号で「青だか ら進め」と言ってくれたほうがずっと楽。君が代を国歌と法で定めれば安心できる と思うような国民性ですから、やっぱり日本にはラウンドアバウトは不向きなので はないでしょうか。

最後に、イギリスの信号について。この話題も実は「ドロシー・クラブ」さんの HPから触発されたものです。(「ドロシー・クラブ」へは当HPの「リンク集」 からどうぞ。)イギリスの信号は日本よりも短いのではないかという指摘がありま すが、歩行者用信号についてはそう言えるような気がします。道路は車のもので、 歩行者はその流れをなるべく妨げないように利用させてもらうという考え方が根底 にあるのではないでしょうか。イギリスの道路は圧倒的に車優先です。(余談です が、自転車も車と一緒に車道を走るのはこわい。)次に、歩行者用信号があっても 無駄なケースがしばしばあります。イギリス人は横断歩道や歩行者用信号の有無に かかわらず、どこでもまたいつでも渡れると判断すれば道路を横断してしまうから です。したがって、横断者がいないのに歩行者用信号が青に変わり、車は無駄に信 号待ちなどということもしばしばあります。ここでも、やはり各人が自分の判断と 責任において行動するというイギリス人の基本ルールがうかがえるわけです。

     ● 一言イギリス英語講座 - "cowboy"

現代のイギリスでカウボーイ?ここでふれるのは、「資格や技能もないのに仕事 を請け負う詐欺師まがいの配管工、電気技師、大工などの職人」のことです。とん でもない手抜き工事あるいは素人仕事に大金を払わされたりします。要注意。"You have had cowboys. Why don't you try indians now?"なんていうインド人経営の 水道工事店の広告があったそうですが、この場合の cowboy はもちろんもともとの 意味にかけたもの。 イギリスでいい職人さんを見つけるのは至難の業です。素人にちょっと毛が生え たくらいの人たちも多いですし、またほとんどの人があてにならない。来るといっ た時間に現れることはまずありません。イギリスでDIYが盛んなのはなにも自分 の家を愛する国民性からだけではありません。素人仕事に金を払うくらいなら、自 分でやったほうがまし、また、いつ来るかわからない人を待つくらいだったら、自 分でやったほうが手っ取り早いからということもあるのです。

     ● 試行錯誤の "Anglo-bites" です

今回から、みなさんのご意見を取り入れてちょっとスタイルを変えてみました。 どこが変わったかわからない?実は、少し短めにしてみたのですが、気づいていた だけましたでしょうか。一応の方針としては、1回のボリュームを少な目にして、 その分更新回数を増やしていくことを考えています。そうすることによって、情報 提供型のコラムとエッセイ風のコラムとの両方を交互になるべく頻繁に掲載してい く予定です。それぞれのタイプを好む読者の方たち両方に満足していただけたらと 思っています。

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