**イギリスつまみ食い**
● 今年は夏がある! このところ、イングランド南東部では、週末の度に気温は30度まで上昇し、太 陽が燦燦と輝きます。懐疑主義・悲観論者のわたしは、絶対にこんないいことが続 くはずはないと信じています。そのうち、きっと40日間連続雨とか、とんでもな いことがおこるでしょう。と、ここで書いたからには、少なくとも今週末の天気は 崩れるに違いない。(「ジンクスはまたしても現実になったのであった」をご参照 下さい。前号で、「麦畑が黄金色」と書いたら、すぐに刈り入れが行われました。)
● 日本の常識は世界の常識ではない(1) 5W1Hは報道の鉄則ではない 国語の時間に「いつ、どこで、誰が、何を、どうした、は作文の重大な要素。」 と習いませんでしたか?そして、特に新聞では、5W1Hは絶対に欠かせない ニュースのポイントだと教わりませんでしたか?ところが、ここイギリスでは、そ れはあまり重要ではないみたいです。新聞記事で、5W1Hの一つや二つが欠ける のは日常茶飯事。何をどうした、をはずすとさすがにニュースでなくなってしまう ので、だいたい、抜けているのは、いつとどこでです。「いつ」がなくても、古い ニュースはニュースじゃないから、たぶん最近起こったことだろうという推測はで きる。(日本の新聞のように、何時何分まで載っていることはまずありません。) 先日も新聞を読んでいると、どこにも、「どこで」がない。記事の中に加害者の 職業が「アメリカ海兵隊員」となっているので、わずかにアメリカで起こった事件 かなあ、という推測はできる。でも、海外のアメリカ軍基地で起こった事件という ことも考えられますよね。 また、先日、タウン誌を読んでいたら、「回転寿司チェーンの "Yo! Sushi" が、 8月某日に世界最長のコンベヤーベルトを設置したスシ・レストランをオープンす る」という記事がありました。ここまでは、4W1Hをクリア。タウン誌に出てい る以上、南ロンドンかケント北部であろうと、胸を高鳴らせながら、最後まで記事 を読んだのですが、とうとう、「どこで」がありませんでした。これだけ読んだら、 世界最長のコンベヤベルトを装備した回転寿司店が世界中のどこにオープンしても 不思議はない。出店されるのが日本だったら、ニュースバリューはないじゃないか?! 男は必ずしも辛党ではない イギリスを訪れた日本人女性がまず驚くのが、カスタードや生クリームにどっぷ りつかったプディングを、うれしそうに食べている男性の姿でしょう。朝から通勤 電車の中で、チョコレート・バーを食べているつわものもおります。日本では、一 般的に男性は辛党で、ゆえに甘いものは食べない、というのが通説ですが、果たし て、これは真実なのでしょうか? 学生時代に、サークルの同期の男性と喫茶店に行ったことがあります。「俺がお ごるから、パフェとか食べない?」と聞きます。わたしはパフェは食べたくなかっ たので、コーヒーにしましたが、彼はとても残念そうでした。わたしがパフェをとっ たら、自分も便乗してパフェを注文するつもりだったそうです。(コーヒー一つ、 パフェ一つ、という注文だったら、だいたい店員は女性の前にパフェを、男性の前 にコーヒーを置きますよね。パフェ二つという注文だったら、そういう気まずい思 いは少なくとも避けられるわけです。)日本人男性は、本当は甘いものが好きなん だけど、男らしくないので、人前で食べられないだけなのではないのでしょうか? 甘いものの好きな男性だっていると思うのですが。わたしは、辛党は男の美学だと は思いません。(献血で注射針を恐れない、というのは男の美学ですが。)日本の 男性諸氏、体裁をかなぐり捨てて、好きなものを食べましょう! というわけで、日本では当然と思われていることが、イギリスではそうではない、 という例を二つご紹介しました。タイトルに(1)とあるからには、(2)もある 予定です。(今のところ、題材は決まっておりませんが。)「えぇっ?これがイギ リスでは常識ではない?!」とぶっとぶような発見をなさった方、またぶっとばな くても、興味深く思われた方、お便り下さい。このコーナーでご紹介したいと思い ます。joshiki@michiej.globalnet.co.uk [目次に戻る]
● 一言イギリス英語講座 - "Cool Cymru" "Cymru" はウェールズ語で、「カムリ」と発音し、ウェールズを指します。 今、おしゃれなのは、ウェールズ人であること。10月にはラグビーのワールド カップが予定され、そのために地元は経済的にも活気を帯びています。現在イギリ スで上映中の話題の映画 "Notting Hill" では、主人公ヒュー・グラントの友人で、 ユアン・マグレガーの演じる青年のウェールズ訛りがかわいい、というもっぱらの 評判だそうです。マニック・ストリート・プリーチャーズ(ウェールズ議会の開会 式での演奏を断ったことでも有名ですが)や天使の歌声・シャーロット・チャーチ など、ウェールズ出身のアーチストも世界で活躍しています。 "Cool Britannia" は、一昨年5月に労働党が政権を取った頃に、流行した言葉 でした。各界の流行の先端を行く人々を集めての政府主催パーティーなどが行われ ました。今回の "Cool Cymru" も、地方分権 (devolution) を政策の柱とする現政 権のプロパガンダにマスコミが乗っただけ、というような気がしなくもありません。 [目次に戻る]
● いよいよ盛り上がってきた 前号でも書いたように8月11日は、イギリスでは72年ぶり、この後91年間 見られないという皆既日食があります。ロンドンでも97%近く欠けるということ で、いよいよ盛り上がってきました。人気ソープ番組、「イーストエンダーズ」で は、日食スペシャルを企画しています。(予告では、若い男女が、コーンウォール (?)の野原で、何やらドラマチックに言い合いをしている中、辺りが真っ暗になっ て太陽が隠れていましたが。)それと同時に関連団体が呼びかけているのが、決し て肉眼で太陽を見ないように、サングラスもだめ、ということです。日食の間に、 ちょっと見ただけでも失明の危険性があるそうです。また、この日は、多くの会社 員が休暇を取るか、会社を抜け出すかして、ロンドン経済に与える打撃も小さくな いと言われています。 わたしですか?家に帰ってから、安全なテレビのニュースで見ようと思っていま す。でも、真昼に出現した数秒の夜、というのも興味深いですよね。やっぱり、会 社をこっそり抜け出そうかなあ・・・。 [目次に戻る]
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