Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第31回の目次
● イギリスの教育制度は甘いか?厳しいか
- Pre-school, primary schools, secondary education
- Independent, further education, higher education
- まとめ

● イギリスの教育制度は甘いか?厳しいか

というわけで、今回初めて、教育問題を扱うことにします。興味はあったのですが、なにしろイギリスの教育制度は複雑で、ニュースや新聞でちょっとかじったくらいではなかなか理解できません。ところが、今回、いい資料がみつかったので、この問題を取り上げることにしました。

なぜイギリスの教育制度が複雑かというと、教育問題はしばしば政治的な対立の的になってきたからです。そこで、政権が変わるたびに新しい制度が導入されたり、一部は旧制度が温存されたりしたために、すっきりしない形になってしまいました。また、試行錯誤の部分も多く、時代によって国民の志向も変わったり、変化の多い分野でもあります。以下は、BBCのホームページで、1998年にアップされた "How the Education Systems Work" を参考にしましたが、一部の古い情報は、気がついた範囲で、最新のものに差し替えてあります。それでも、なおかつ古い情報が混じっていましたら、ご指摘下さい。また、学校制度は地域によって異なる部分もありますが、煩雑になるため、特殊な例は割愛いたしました。ここに書かれているのは、イングランドの大部分の地域で施行されている制度とお考え下さい。

まず、教育制度についてご紹介する前に、軽く日本とイギリスの学校の違いをあげてみます。新学期はイギリスでは、9月にスタートします。1年は3学期からなり、最初の学期は、9月からクリスマス前まで、次が1月初めからイースター前まで(イースターは年によって変わりますが、3月下旬から4月下旬までの間のいずれかの日曜日にあたります。)、そしてイースター後から7月中旬までが最終学期になります。ここまでは、新学期の時期が違うだけであまり日本とは変わりませんが、ちょっと違うのは、それぞれの学期 (term) の中にハーフ・タームと呼ばれる休みがあることです。ハーフタームの休みはだいたい1週間ちょっとですが、9月に新学期が始まったと思ったら、10月に休みでは、勉強に気が入らないのも無理がありません。小学校レベルでは、読み書き算数といった基礎的能力をつけることが最大課題とされています。このような基礎能力は、反復学習などによってもらたされる部分が大きく、学習時間の長さとは全くの無関係でもないでしょう。イギリスの子供は日本や台湾はおろか、ヨーロッパの国々と比べても学力が劣るなどと嘆いている暇があったら、まず、このハーフタームを見直すべきです。共稼ぎの両親が多い現代、ハーフタームは親にとっても迷惑このうえないものでしょう。

では、いよいよ本論に入って、教育制度についてです。イギリスの学校制度は大まかに分けて、次の5つの段階に分かれます。

     Pre-school (就学前教育)
     Primary schools (初等教育)
     Secondary education (中等教育)
     Further education(高等教育)
     Higher education (大学教育)


Pre-school(就学前教育)

就学前教育は2歳から5歳まで。形態としては、playgroup と呼ばれる私設保育所、nursery と呼ばれる託児所、nursery class と呼ばれる小学校付属の幼稚園クラスなどがあります。公立・私立の両方があります。

1997年の選挙時の労働党の公約が実現され、現在では、親が希望すれば、4歳児は無料で就学前教育を受けることができます。最近の傾向としては、小学校付属の幼稚園クラスが人気があるようです。これには二つの理由があります。政府が補助金を出すようになったため、小学校が積極的に幼稚園児をとるようになったというのが一つ。もう一つは、定員オーバーになるほど人気の高い小学校の場合、幼稚園クラスに入れておいたほうが、小学校に入学できる可能性が高くだろうと親が考えるためです。この結果として、私設保育所や託児所は近年減少傾向にあります。

Primary schools(初等教育)

イギリスでの小学校の一般的名称は、primary school です。公立の学校 は、state school と呼ばれます。public school とイングランドで言うと、逆に私立学校 (private school, independent school, fee-paying school などと呼ばれます。) を指すことになります。イギリスの初等教育は5歳に 始まり11歳で終了します。地方自治体には、その地域に住む子供が5歳の誕生日を迎えた後に始まる学期には必ずその子供を就学させている法的義務があります。実際には、ほとんどの子供が5歳の誕生日の前の9月に入学します。このため、夏生まれの子供は4歳になるとすぐに学校に入ることになります。

小学校には、5歳児から7歳児までを教える infant school と、7歳から11歳までを教える junior school、そしてこの二つを組み合わせたタイプとがあります。

Secondary education(中等教育)

前述の初等教育に引き続き、この中等教育までが義務教育で、地方自治体の管轄となります。公立学校では、コンプリヘンシブ・スクール (comprehensive school) と呼ばれる形態が最も一般的で、中等教育課程にある生徒全体の86.8%がこのタイプの学校に通っています。これに対して、現在その存続が問題となっているのが、グラマー・スクール (grammar school) です。4%の中等教育課程の生徒がグラマー・スクールに属しています。グラマー・スクールは選抜制で、入学するためには、小学校の最終学年である11歳の時点で、選考試験を受け、合格しないといけません。それゆえに、グラマー・スクールはいい学校と言われるわけです。これに対してコンプリヘンシブの場合には、選考試験を受ける必要はなく、原則的に学区内のすべての子供が入学することができます。まず、学校の近隣に住む子供が優先的に入学を認められ、その中でも、兄弟がその学校に通っている場合が最優先。そして、段々に学校から離れた地域に住む子供が入学を許可されるという具合になっているそうです。

1944年から1960年代半ばまでは、ほとんどの地方自治体が、グラマー・スクールとセカンダリー・モダン・スクールという形態による中等教育制度をとっていました。イレブン・プラスと呼ばれる試験の結果によって、生徒の進路はどちらかに決定されていたわけです。

ところが、1960年代になると、この選抜制は不評になり、次第に多くの地方自治体が、コンプリヘンシブ(総合学校)制度に移行し始めます。(イレブン・プラスに落ちるのは、子供にとってたいへん屈辱的な体験だったそうで、11歳にして早くも人生の落伍者という経験を子供にさせるのは残酷であるというのが、当時の選抜制批判の主な理由だったようです。)1974年、当時の労働党政権は、コンプリヘンシブ制度を法制化しましましたが、1979年に政権をとった保守党政府はグラマー・スクールの存続を認めました。このような変遷のために、現在のイギリスの中等教育制度はとりわけ複雑なものとなっています。

このコンプリヘンシブ対グラマーというのが、政策の分かれるところです。基本的に、労働党は社会主義の理論に基づき、同等の教育を支持し、選抜制を否定しています。ところが、首相のトニー・ブレアをはじめ、実際には、自分の子供を越境入学でグラマー・スクールに通わせている労働 党議員もいます。政治理念としては同等教育を支持するものの、自分の子供はいい学校に入れたいという親心でしょうか。それに対して、息子をグラマー・スクールに入れたいという妻と意見が合わず、自分の政治理念を押し通して、離婚された労働党議員もいます。現労働党政府は、これ以上新しいグラマー・スクールができることはないものの、現存するグラマー・スクールの存続については、各地域の親たちの決定に委ねると発表しています。

前述のように、コンプリヘンシブ・スクールの原則は、無試験・機会均等であるわけですが、実はこの原則も最近は崩れつつあります。コンプリヘンシブ・スクールでありながら、入学試験を非公式に実施する学校が増えてきているようです。それでも、親からの批判がないということは、トニー・ブレアならずとも、多くの親は、やはり選抜制の学校=いい学校と考えているのでしょう。選抜制のコンプリヘンシブ・スクールが現れているところを見ると、グラマー・スクールは永遠になくならないと考えてよいのではないでしょうか。

この二つのタイプの中学校の他にも、middle-deemed secondary school という8歳から14歳までを対象とした学校(全中等教育課程児童の5%)、secondary modern school と呼ばれる実用性を重視した学校(同2.6%)、技術・語学・スポーツ・芸術などに専門化した specialist school があります。

さて、ここまでが公立の義務教育課程です。イングランドのすべての公立学校では、National Curriculum を、5歳から16歳までのすべての子供に教えないといけないことになっています。このナショナル・カリキュラムでは、英語(国語というべきでしょうか)・数学・科学が5歳から16歳までの子供にとって必須主要科目となっています。

7歳、11歳、14歳で、"standard assessment tests" (SATs)と呼ばる全国一斉テストが行われます。7歳は英語と算数だけ、11歳と14歳では科学が加わります。現在、11歳と14歳の間にも、2回このテストを実施すべきであるという案が出ています。この試験は、元来は、ナショナル・カリキュラムを子供たちが習得しているかどうかをチェックするためのものなのですが、実際にはむしろ、後述のGCSEの結果と共に、各公立学校の学力水準を示す目安として見られています。

さて、そのGCSEとは、General Certificates of Secondary Education の略で、義務教育終了証書とでも言ったものです。義務教育の最終学年(15〜16歳)に、各教科について試験が行われます。統一した試験用紙が中央機関によって用意され、外部の試験官によって採点されます。結果は、グレードA*(最高)からGまでの8段階及びU(不合格)で表されます。この試験に合格することによって、義務教育終了の資格が与えられるわけです。履歴書などでは、この資格が重要視されます。学校を卒業すればいいだけの、日本の義務教育とはちょっと違いますね。

SATsおよびGCSEの結果は、"league table" と呼ばれる学校別の一覧表として公表されます。前者の場合、どこそこの学校では標準レベルに達した生徒が英語で何パーセント、算数で何パーセント、科学で何パーセントという具合です。うちの隣り村の小学校では、11歳の生徒数15人で、英語100%、算数100%、科学100%なんていう立派な成績を残したところがありましたが、一方、やはり近隣の小学校では、生徒数15人で、すべて20%台という悲惨な結果のところもありました。こうなると、生徒数が少ないだけに、生徒や親もさぞかし肩身の狭い思いをしていることでしょう。

また、政府の独立した教育機関(略称OFSTED)は、6年に一度、それぞれの公立学校を視察します。問題のある学校の場合にはもっと頻繁に視察が行われます。視察結果は全児童の親に配布され、またインターネットでも閲覧が可能です。視察官がその学校が基準に達していないと判断すると、新しい理事を送り込んだり、民間に運営を任せたりします。それでも改善されないと判断した場合は、学校は閉鎖されます。前回の試験で、21%の生徒がGCSEを一つもとれなかったという屈辱的な結果を残したケント県内の中学校は、すでに閉鎖が決定しています。


Independent (私立学校)

公立学校の場合には、授業料は無料で、主に政府の地方自治体への助成金によって運営はまかなわれています。私立学校の場合には、公的資金の補助はない代わりに、授業料を徴収して運営に充てます。公立学校の場合には、前回登場した、ナショナル・カリキュラムに定められたことを教えないといけませんが、私立学校の場合はこの義務はありません。(それに沿った指導をしているということですが。)

私立学校の場合、初等教育は二つに分かれます。2歳から7歳までを対象にした pre-preparatory school と7歳から11歳あるいは13歳までを対象にした junior school または preparatory (prep) school です。なぜプリパラトリーという名がついているのかというと、最後の2年間は、私立中学への受験勉強だけと言ってもいいほど、進学準備の性格が強いからです。

私立中学は11歳から入学できます。独自の入学試験を設けているところもありますが、多くは共通入試を採用しています。11歳、12歳、13歳で受験ができます。試験を作るのは中央機関ですが、採点は各私立学校毎に行われ、合格点も学校によって異なります。

授業料は学校によって大きく異なります。また、年齢や通学生か寮生かによっても異なります。イギリスの私立中学校というと、全寮制のイメージが強いですが(それとも、わたしは10数年前に流行ったイギリスの美少年映画の見過ぎ?)、最近は寮生の数は減少の傾向にあるようです。1997年現在で、私立学校に席を置く生徒のうち、寮生は女子で6.5%、男子で9.9%となっており、1982年の27.7%からは激減しています。私立中学の平均授業料は、男子通学生で、1学期1300ポンド〜3200ポンド(1997年調べ。現在の為替レートで約22万円〜54万円。1学期だけの金額ですよ。)、男子寮生が2800ポンド〜4600ポンド(約47万円〜78万円)となっています。女子の場合は、若干安めですが、ほとんど変わりません。

Further education (高等教育)

16歳の子供のうち、86パーセントが、学校教育または職業訓練という形で義務教育を終えた後も、教育課程に残ります。大学に進むため、または就職の準備のためには、いくつかの資格がありますが、その中でも最も代表的なのがAレベルです。

Aレベル (Advanced Level を表すようですが、一般的に、エー・レベルと呼ばれます。)は2年間のコースで、語学・科学・人文学などの幅広い分野から科目を選択します。3科目を選択するのが一般的ですが、2科目や4科目を選ぶ生徒も珍しくはないそうです。学習課程は、現在様々な形をとっています。学校内部で考査が行われる課題と外部で考査の行われる試験との組み合わせからなるもの、課題はなく、2年間のコースの最後に行われる試験だけで評価されるもの、またモジュールと言われる小単位毎に考査が行われるもの(利点は、一つの単位を落とした場合、再履修が可能なこと。)などです。学問的にかなり難しいと言われています。前回ご紹介した、義務教育修了資格であるGCSEの試験が「暗記」に重点をおいているのに対して、Aレベルではむしろ、「思考力」を問われるそうです。また、Aレベルは、大学進学を目指す子供にとっては必須の資格です。

このAレベルを勉強するためには、前回中学校のところでご紹介したコンプリヘンシブ・スクールやグラマー・スクールの高等部に進学することになります。しかしながら、地域によってはこれらの学校は16歳までの学年しかないところもありますから、そのようなところでは、sixth form college と呼ばれる高校に入学することになります。これらの学校への入学には、通常、4〜5のGCSEをグレードC以上で合格していることが条件になります。

このAレベルの他に高等教育レベルで修得できる資格としては、深く狭いAレベルに取って代わる、広く浅いタイプのA/Sレベル (Advanced Supplementary /Subsidiary Level) が最近注目されています。その他、芸術、情報技術、社会福祉、メディアとコミュニケーション、工学などの専門技術を学ぶ1年〜2年のコースに、GNVQ (General Vocational Qualification) といったものもあります。

Higher education (大学教育)

イギリスの大学教育については、こんな神話が日本で、あるいは世界中でいまだに信じられていると思います。イギリスの大学教育は帝王学を学ぶところ。一握りのエリートたちが、将来、イギリスの政界・財界・法曹界・学術・行政・教育・軍隊といった様々な分野でリーダーとなるために、最高の教育を受ける。国民の指導者を育てるためであるので、当然授業料は無料である。

ところがこの神話は、1992年にポリテクニックが大学に格上げされてから、崩れつつあります。ポリテクニックというのは、専門科目を教える学校のことです。1992年には、この総合専門学校に学位を授けることが許されました。そして、これらの学校は一斉にユニバーシティを名乗るようになったわけです。結果として、現在英国全体の大学の数は100を超えています。これに伴い、大学進学率は飛躍的に上昇しました。大学生の数が増えれば、当然、これまで通りすべての学生の授業料を税金で賄っていくことは困難になります。そこで、現労働党政権は、授業料の学生負担を導入しました。授業料は、両親の収入によって異なります。両親が低所得の場合、授業料は免除になります。授業料は、1998年現在で、最高、年間1025ポンド(約17万5千円)となっています。

さて、イギリスの大学への入学ですが、これは、前述のAレベルの結果を基準にしています。

まず、全ての大学がメンバーとなっている中央情報センター(略称・Ucas)に入学を希望する大学を最高第6希望まで書いて、願書を提出します。そして、Ucas が希望された大学それぞれに願書を送ります。それぞれの大学は、その生徒を受け入れるかどうかを検討し、条件付きのオファー(どの科目のAレベルでどのグレード以上をとったら、など)を出すか、あるいは受け入れを断るかを決定します。この結果が生徒に通知され、生徒は志望する大学を第一と第二の二つに絞ります。そして、Aレベルの結果が発表され、志望した大学が出した条件を満たしていれば、晴れて入学決定ということになります。不幸にして、どこの学部からもオファーが出なかった生徒やオファーの条件を満たさなかった生徒には、中央情報センターによって、定員を満たしていない大学・学部との縁組みがとりもたれます。

First degree course は、全日制で、通常3年間の課程ですが、4年間の課程や通常5年間を要する医学や獣医学のコースもあります。この課程を修了すると、学士号が授与されます。

政府の目標とする大学進学率は、18歳から19歳の全人口の3割と言われています。(5割という報道も聞いたことがありますが。)これが実現すれば、イギリスの社会には、かなりの変化があるのではないかと思われます。たいへん興味深いのは、今まで大卒が享受してきた、企業などにおける特別待遇がどうなるかということです。階級構成を変化させるほどの影響すら持つかもしれません。


イギリスの教育制度は、他の制度(医療制度など)同様、かなり格差の激しいものです。イギリスの高等・大学教育はレベルの高さには定評があります。ところが、小学校レベルとなると、あまり世界には誇れません。学習のぺースが違うということもあるのでしょうが、制度的な問題も見逃せないと思います。個々の地方自治体の財力に依存するところが大きすぎるのではないでしょうか。財源難のところでは、教科書さえ全生徒に支給されないところもあるそうです。従って、予習や復習、宿題も満足にできない学校もあるということです。「うちの学校は宿題を出します。」ということを宣伝文句にしている学校すらあります。

これは、今までのイギリスの教育が、エリートを育てる、将来国の指導者となるべき人を育成するということに重点をおきすぎて、すそ野教育を怠ってきたことにあるのではないかとわたしは思います。エリート教育重視には、階級制度やかつての植民地政策の背景にある考えと共通するものがあるのではないでしょうか?つまり、一部の優れた人々のリードのもとに繁栄と発展はある、その他大勢はそれについていけば、その恩恵を享受できる、という考えです。

それに対して、「日本の製造業の成功は、質が均等で高い労働力によってもたらされた。」といわれるように、日本の教育のよいところは、一般の人たちが、広い一般教養と実生活に必須の技術(読み書き計算能力など)を身につけていることでしょう。

理想としては、イギリス式エリート教育と日本式すそ野教育を両方兼ね備えたものではないでしょうか。

しかし、最近、イギリスの教育政策に変化の兆しが見えてきています。前回も述べたように、ポリテクニックの大学昇進によって、大学生の数は飛躍的に増えています。(つい最近、学生の授業料負担導入によって、大学進学者数は減ってきているという逆の統計結果も出ています。しかし、それでも、1992年以前の数字に戻ることはないでしょう。)大学入学への準備課程でもあるAレベルへの進学率も、近年上昇しています。また、Aレベル自体にしても、政府は、Aレベルを3教科とるよりは、Aレベル2科目とその半分の内容(学力水準は同じ)のASレベルを2教科、または、ASレベルを6教科とることを奨励しています。これは、今までの「深く狭く」から、「浅く広く」の高等教育への方向転換と考えられるでょう。こういった教育改革が、今後イギリス社会にどのような変化をもたらしていくのか、たいへん興味深いところです。

ここでご紹介した情報の大部分は、1998年に作成されたBBCのホームページをもとにしていますが、義理の妹からの聞き取り調査に従って、できる限り最新の状況を反映した内容にしています。彼女は、昨年9月に大学に入学したばかりの息子と現在Aレベルを学習中の娘を持ち、本人も小学校で教師の助手をしています。彼女の話によると、最近は、Aレベルから International Baccalaureate(国際大学入学資格試験)への移行の動きもあるそうです。このように、イギリスの教育制度は、文字どおり時々刻々と変わっています。ここに書いたことも明日にはもう古くなっているのかもしれませんが、みなさんのイギリス理解に少しでもお役に立てたならば、幸いです。


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