Anglo-bites

 **イギリスつまみ食い**

第36回の目次
● Pokemon craze
● イギリスの人気お土産ランキング
● 一言イギリス英語講座 - "red herring"
● お土産余談

● Pokemon craze

とうとうこんな事件が起きてしまいました。4月26日発行の南ロンドンとケントを中心にしたタウン紙に載っていた事件です。南ロンドンの公園を散歩していた10歳と11歳の男の子が、同年代くらいのグループに襲われ、殴る蹴るの暴行を受けた。犯行の目的は、ポケモンカードの略奪。白昼の出来事だけに、少年の母親もショックを隠せない。イギリスでは、ポケモンの映画が1週間前に封切られたばかり。テレビのほうも、たいへんな人気らしいです。まもなく、衛星放送では、デジモンも始まるとのこと。やれやれ、イギリスの親たちも頭の痛いことですね。

● イギリスの人気お土産ランキング

イギリスではイースター・ホリデーが終わったところですが、日本では今週末からゴールデン・ウィークが始まりますね。連休と言えば、旅行、旅行と言えば、お土産とくるでしょう。土産物屋は "Souvenir shop"。このスーベニアは、フランス語の動詞スーブニールから来ていて、本来は、思い出す、覚えていることを表します。つまり、旅に出た本人が旅先のことを後々思い出すために、記念に買うのが、お土産であるわけです。それに対して、日本人が気を遣うのが、他人に持って帰るお土産。こちらは、英語にすると、プレゼントになります。それでは、イギリス人は、他人にはお土産を持って帰らないか?家族など、身近な人にはするようです。職場はまずありませんね。うちの会社は日系で、しかも、わたしの部署は日本関係なので、お土産花盛りですが、普通のイギリスの会社ではそういう習慣はないようです。やっぱり、休暇をとるのは当然の権利、休暇の間に迷惑をかけるのはお互い様なので、敢えてお礼はしない、ということでしょうか?そもそも、イギリス人には、あまり恩を返す、とか借りを返すという発想がないですものね。

さて、今回はそんなイギリス人に人気のお土産に、勝手に順位をつけてみました。

第1位 T shirts (Tシャツ)

やっぱり、お土産の筆頭でしょうか。「そんなことはとっくに経験済み。」 という時の決まり文句が、"Been there, seen it, done it, bought a T shirt." です。(この後、"watched a video, ..." と続くこともあります。)

かつて世の中を騒がせたグロスターシャー州の連続女性殺人犯フレディ・ ウェスト(獄中で自殺しましたが)の家の外にも、映画「13日の金曜日」をもじった "Freddy's back! A Nightmare on Cromwell Road" というTシャツを売り出した商魂たくましい人が現れました。さすがに、これは全国の顰蹙をかいまくっていましたが。上九一色村の「ハルマゲ丼」とか「ああいえば上祐だんご」のノリでしょうか。観光名所になると必ず現れるという土産物という点では、Tシャツは、日本の饅頭のようなものと言えるかもしれません。

第2位 Fridge magnets (マグネット)

最近は日本でも見かけるようになりましたが、まだ普及度はイギリスには及ばないようです。イギリスより先を行っているのが、アメリカでしょう。実は我が家もこれのコレクター。とういわけで、堂々ランキング2位に入れちゃいました。ヨーロッパ大陸でも徐々に見かけるようになりましたが、フランスなどではピン (pin) と呼ばれるバッジのようなもののほうが主流のようです。6年前にスペインを旅行した時には、ほんどの場所でみつからず、やっと一つ、サン・フェリペのマグネットを見つけて記念に買ってきました。このサン・フィリペはどうやら、イギリスのセント・クリストファー同様、旅人たちの守護聖人のようです。イギリスでは、セント・クリストファーというと、道中安全のお守りを意味します。

第3位 Pens (ボールペン)

お土産のコレクターとしては、圧倒的に子供が多いらしいので、それでこの手の安い品物が人気なのでしょう。

第4位 Key rings (キーホルダー)

これは、値段も手頃で洋の東西を問わずお土産の定番と言えるでしょう。

第5位 Tea towels (ふきん)

このへんに来ると、ランキングはもうどうでもいいんですけど、あえて順位をつけてみました。長方形の布に、その土地の名物が印刷されたものや、イギリスの野鳥、イギリスの野草などの全国共通版など。

第6位 Tea spoons (スプーン)

紅茶をかきまぜるのに使うスプーンと、茶筒からティーポットに移すために使うずんぐりしたさじ部分の大きいスプーンとの2種類があるようです。前者の場合には、柄の先に、後者の場合には、さじ部分に、名物やその土地のイメージが添えられています。

第7位 Bookmarks (しおり)

アンティークにもなっているくらいなので、かなり伝統的なお土産なのでしょう。

第8位 Thimbles (指貫)

裁縫用の指貫ですが、日本の指貫と違って、指の先にかぶせます。これもコレクターズ・アイテム。伝統的なお土産という点で、ランキングに入れました。

第9位 Rock (ロック)

やっぱり、一つくらい、食べ物を入れておかないと。日本のお土産と言えば、饅頭など菓子が中心ですが、スーベニアの原則から行けば、思い出に残らない食べ物が土産物としてはイギリスで地味な地位を占めているのは当然かもしれません。その中でも、比較的よく見かけるのが、ファッジとチョコレートとロックではないでしょうか?イギリス的という点で、ファッジとロックとどちらをランキング入りさせようかな、と悩んだのですが、よりお土産的という意味でロックにしちゃいました。ロックは、グレアム・グリーンの小説「ブライトン・ロック」でも有名な棒状の飴。ファッジは、キャラメルを柔らかくしたもの、と考えていただければ間違いないと思います。

第10位 Mouse mats (マウス・パッド)

これからお土産として、ビッグになるでしょう。将来性に期待して一票。最近、よく見かけるようになりました。値段も1ポンド99ペンス(約320円)から、とお手頃。

独断と偏見のベスト10、いかがでしたでしょう?見落とした人気アイテムのご指摘や、読者の方のオリジナルランキングは歓迎ですが、物言いがついても取り直しはありませんので、あしからず。

● 一言イギリス英語講座 - "red herring"

色にまつわる慣用句の第2弾は、「赤」です。赤のイメージとしては、血、炎、など情熱を表すものが多いです。同時に、共産党の色。ちなみに、前回の「青」は、英国保守党のシンボル・カラーであり、保守党員を表すこともあります。

Red herring

文字通り訳すと、赤いニシンということで、薫製のニシンも指しますが、よく使われるのは、推理小説用語のほうです。人の注意をわざと混乱させたり、他の方向にそらすようなもの、特に、本当の犯人以外の人に疑いがかかるような手がかりなどを指します。きつね狩り用の犬の訓練のために、魚を地面の上でひっぱりまわしたことから来ました。こうして嗅覚を鍛えたそうです。1880年代から使われている言葉です。

Red letter day

特別な日。宗教的な祭日や祝日はカレンダーに赤で印されていたことから来ます。日本では、旗日なんて言いましたが、それに当たるようです。

Caught red-handed

現場をおさえられる。殺人犯が、まだその手を血に染めているところから来ています。現在では、例えば盗み食いをしているところを見つかったりした時などに使います。

Red-blooded

前回は "Blue-blooded" (高貴な生れの)をご紹介しましたが、こちらは、元気な、雄々しい、という意味。特に、異性に対して関心の強いことを表します。(普通男性に対して使われるようですが。)

(Like) a red rag to a bull

ある人を刺激するような物、発言、行為。闘牛で、牛の前で赤い布を振ると牛が襲いかかってくることから来ています。が、実際には、牛は色盲で、赤い色に興奮するのではなく、目の前で物をちらちらされるのに対して、神経を逆なでされるのだそうです。

● お土産余談

わたしの今回の里帰りのお土産は、「東京風ヘアスタイル」。昔、行きつけていた原宿の美容院に、10年ぶりに行ってきました。最近、東京では、こんなふうに髪を切るのが流行っているんだよ、ということで、シャギーなヘアスタイルに。とても東京風なヘアスタイルで気に入っています。昔なじみの美容師さんは、今も同じ店に健在。予約は、インターネットを利用して、イギリスからしていきました。便利な世の中になりましたね。

日本の収集タイプのお土産といえば、かつてはぺナントという、あの三角形の布切れが代表的なものでしたが、最近見かけませんよね。あれって、健在なんでしょうか?

今回はイギリス人の間で人気のお土産でしたが、日本人の間で人気のイギリス土産といえば、文句なく、紅茶でしょう。それも、フォートナム・アンド・メイソンのもの。わたしも里帰り前に、買い物に行きましたが、あそこは本当に不愉快な場所です。店員が思い切り無愛想。でも、その一因は、われわれ日本人にもあるのかも。イギリスでは、お金を払う時、客のほうもありがとうを言います。それを知らない日本人客の応対をするうちに、イギリス人店員も「ありがとう」と微笑みを忘れてしまったのかもしれません。このマガジンをお読みのイギリス通のみなさんには、こんなお願いをする必要はないのでしょうが、「サンキュー」は簡単な英語です。イギリス式に、お金を払う時にも言いたいものですね。これでも、相変わらず店員の感じが悪いようだったら、日本人みんなで不買運動を起こしましょう。

[最新号を読む] [バックナンバー一覧を見る] [メールマガジンの登録・解除をする]
[トップページに戻る] [メールを送る]